梅雨が終わったとたんいっきに暑くなってきた。
今日の最高気温は30度を超える地域があるようで、そんな平日の日中にも関わらず俺はトボトボと歩いている。と言うのも、仕事の面接が今日なんだ。
仕事といっても派遣なんだけどな・・・
仕事内容はM自動車工場のライン作業で2交代勤務。
1年後に評価が良ければM自動車の正社員になれるというものだ。
10分ほど歩いて到着した面接会場は市の管理する4階建てのビル。
ヒッソリと静まり返った古い建物で、人の気配が全く感じない不気味な印象。
事前に指定されていた4階の部屋へ行くと張り紙が貼ってあった。
「面接を受ける方は、椅子に座ってお待ちください」
廊下に折りたたみの椅子が並んでいたので、そこへ座って待つことにした。
面接を受けるであろう2人が既に座っている。
それにしても暑い・・・
冷房の効いていない廊下は蒸し風呂の一歩手前という感じ。
廊下の窓は開いているが無風。
面接の予約をしたときに普段着でいいとのことだったが、襟のついた白の長袖シャツとチノパンで黒のベルトという普段の俺なら絶対にしない大人しい服装にした。ついでにむさ苦しく伸びていた髪をベリーショートのモヒカンにしてスッキリさせた。
こんなに暑いなら半そでにすれば良かった・・・
下着は蒸れてベトついている。
シャツもグッショリだ。
15分ほど経過、
唐突にGパンを穿いてチャラチャラした感じの男が3人会議室から出てきた。
「失礼します」とヒョコンと頭を下げ、俺らを一瞥して、階下へ大声で話しながら消えていった。
「パチンコ行こ~ぜ」
「お前、5千円返せよな~(笑)」
と親しげに3人が話していたので友達同士で応募したのかもしれない。
それよりも、面接でこの服装かよ?
しかも、あんな大声で話してたら会議室の面接官に聞こえるじゃねぇか。
これなら、俺は楽勝で合格かもしれないなって少し楽観モードになってしまった。
そして、数分後、ドアが開く。
「田中良治(たなかりょうじ)さん、山下哲夫(やましたてつお)さん、里中亮(さとなかりょう)さん、お入りください。」
俺たちはめいめいに返事して立ち上がった。
つづく
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